京都の自宅からドラッグスターのもうひとつのイグニッションコイルを金沢に持ってきた。
そしてカフェ化改造に合わせて取り付けてみた結果は・・・・
現象が余計ひどくなった。
以前はしばらく走ってから失火現象が起きていたが、もうひとつのコイルを使うと起動後時間をおかず、エンジン回転数が5000回転を超えるとほぼ決まって現象が発生する。なんだこれ。これも不良品?!
そんなにコイルが故障するのかなといぶかしく思い、他に原因がないかどうかしばし考える。
コイルのプラスマイナス逆?いや、このコイルのタイプは極性はないはずだから関係ないと思いつつ、一応試してみる。すると、案の定、現象は収まらず再発。ん~わからんけど、電流計と電圧計の表示がなんか不安定でおかしい状態なので、ひょっとして現在の結線が何か悪さをしているのかなと。
これは、電流電圧計を設置した結線図。
電流計のプラス側はアースからバッテリーマイナスに帰線するようにつないでいる。このようにすると、すべての負荷電流を測定できると踏んだわけだ。バッテリーのマイナス端子の電位がフレームアースよりも少し低くなる。まあでも、それは大した問題ではなかろうと思い。
そしてエンジンを起動すると、電流計と電圧計の指示値の変動が大きく、電圧値も以前に測っていた数値と比較して振れ幅が異様に大きい。これは測定エラーではないかな。電流計は点火系の電流もアースから拾ってくるためか、目まぐるしく変動する。
んーやはり、このような配線は想定せずに設計されているのか。この電流計は負荷のマイナス側に接続すればよいということなのだが。
秋月電子の当該デジタルメータの取扱説明書。
この結線図によれば、電流は負荷のマイナス側に接続すればよいことになる。
理屈上は私の結線で問題ないはずなのだが、メータは電子回路なので、イグニッションコイル一時側のアース電流というような変動の大きいものを拾うと誤表示になるのかもしれない。
いずれにせよ、らちが明かないので次のように電流計を分離してみた。
アースの電位はバッテリーマイナスと同じ。
すると、電圧計の値がなにやら安定しつつある。しかも数値がテスターで測定していたものと近い。
たぶんこちらが正当であろう。電流計は単独負荷に直列接続して測定できるよう、とりあえずこのままにしておく。
肝心のエンジンの調子は・・・・んー、ダメ。時々高回転までよどみなく吹けあがるけど、ほとんど5000回転くらいで失火が始まってしまう。これでは治ったことにならない。混合気が薄いかもしれないので、一応ジェットニードルのクリップ位置を一段下げて試してみたけど、逆に濃すぎ。低回転からボコボコ言ってる。やっぱこのコイルダメやな、多分。
あ、そうだ、車体配線を引きかえていない!
日が短くなっていているので、作業は仕事が始まる前を後の短い時間。今週末のなにわ旧車部品交換会にCB125JXで行くためには、ぼちぼち調子を戻してくれないと、と思いつつ、これは断念してW3でも駆り出すか。
もうヤフオクで中古のコイルを購入する気になれないので、新品を探すと、フルトランジスタのもので強化型というやつが3000円少しで販売されていた。webike!でポチリ。日本のメーカー製でいろんな車種のコイルを発売しているということ、webile!というメジャーなプラットフォームでの販売なので信頼できると踏んで。もう中華性の新品の不良なんてコリゴリだ。そして入荷日を確認すると・・・ん~来週。。 週末に金沢から京都にバイクで帰ろうと思ったけど、天気予報では雨みたいだし、次回の部品交換会はそもそもCBでは行けないことが確定。まあ、仕方ないわ。
一応、コイルを新品にして試してみよう。
ということで購入したのは、アドバンスプロというメーカから販売されている強化点火コイル。3190円。CB125JX用なんていうものは販売されていない。フルトランジスタ点火車の中で、ちょうどコードの長さが良さそうなものを選ぶと、DIO110という最近のバイクへの適合品がよさげ。もちろん写真をみて、うーん、これくらいかなという勘によるものだ。
ネットで注文すると数日して宅配された。そして1次コイルの抵抗値を測定すると2.6Ω。二次側は14.32kΩ。
これまで使っていたコイルと比較すると以下の通り。
種類 | 1次側抵抗値(Ω) | 2次側抵抗値(kΩ) |
中華コイル(ポイント車用) | 4.3 | 16.58 |
ドラッグスター純正品(フルトランジスタ車両) | 4.4 | 16.60 |
アドバンスプロ製(フルトランジスタ車用) | 2.6 | 14.32 |
強化点火コイル、1個3190円。ネットで注文すると数日して宅配された。
となると早く取り付けて様子を見てみたい。そのためにはコイル1次側に抵抗を挿入しないと。
新たなコイルの一次側抵抗は2.6Ω。これまで使っていたコイルは4.4Ω。よって1.8Ωの抵抗を一次側の+側に挿入すれば良い。
これはポイント点火車のコイル強化策のひとつ。2次側電圧を上げるためには1次側と2次側の巻き数比を大きくする必要がある。1次側のインダクタンスを下げればよいのだが、そうすると今度は1次側の抵抗値が小さくなってしまい、ポイントの電流値が大きくなってしまう。ポイント車の場合、有接点のため電流値に制限があり、1次側の電流値を3~4アンペア程度に抑える必要がある。これを最適化するために、コイル1次側のインダクタンスを下げつつ、1次側と直列に抵抗を接続すれば良い。インダクタンス(コイル誘導分)を変えずに、トータルのインピーダンス(全抵抗値)を上げるということだ。
そこで挿入する抵抗であるが。
仕事を終えて、帰宅後速攻で電子部品マルツにセメント抵抗を買いに出かけた。すると10Wのものしかない。1.8Ωのものはあったのでほっとしたのだが。これで大丈夫? ということで検証してみた。
追加するセメント抵抗の抵抗値をRとし、その両端電圧をEとし、ドエル角を考慮して実際にコイルに電気が流れる時間は6割程度とすると、セメント抵抗の消費電力は、
EI*0.6=0.6*E^2/R ・・・①
常時加圧線の電圧が14Vとすれば、セメント抵抗の両端電圧Eは
E=14*R/(R+2.6) ・・・②
②を①に代入し、R=1.8とすれば、①の数値は10.9W
実際には14Vより低い時間もあるので、10Wあればおそらく許容範囲内だろうという推定だ。良かった。
そして、近所の街灯を頼りに夜作業を行い、抵抗を取り付けたのがこの写真。
タイラップでは良くないのだろうけど、こちらではあまり手元に材料がないのでとりあえず。そのうち金属で固定できるようにしておこう。
さて、走りに出る。
その結果は・・・
成果なし。トホ。5500回転くらいから上はボコボコして更け上がらない。仕方が無いなー。あらためて原因の仮説を考えてみよう。ということでこの日は終わり。
このポイントの裏にあるスパークアドバンサー。
エンジン回転数の上昇に合わせてポイントのカムの位相を進めて点火時期を早める装置。
これが不具合を起こすと、エンジンが不調となる。
そして取り外したのが左側。ひょっとしてこの部品と互換性あるかなと思って、この前のなにわ旧車部品交換会で手に入れたものが右側。形がよく似ているので買ったんだけど。まあ値段100円とかだったし笑。
で、比較してみると、似ているようで若干違う。
カムシャフトと勘合するピンの位置が違う。ホンダさん、なかなか共通部品にしてくれないなー。当時はそうだったんだろう。
よくよく表側をみると、刻印が。左側のには383、右側のには286。これ、ホンダの機種コードというやつだ!
調べてみると、383はまさにCB125JXなので純正だ。286はCB250。へーっ!笑 まあでも役に立たないな。
このアドバンサー、スプリングのへたりや損傷もないし、動作も特に問題ない感じ。一応、オイルを吹き付けて改めて取り付けてみる。ひょっとしたらこれが固渋して5500回転くらいから不調となっていたのかもしれない。だいたい4000から5000回転くらいで進角の最大値を取るように設計されているみたいだから。
レギュレートレクチファイヤ-も交換してみた。オクで仕入れたやつ。
バッテリー両端電圧の変動が大きいのはこいつが機能しなくなっているからかもしれないし。
そして、走り出すと・・・
お、なかなか良いじゃない。5500回転越えても更け上がっていく。
しかし、しばらく走ると失火し出す。電圧計は9~11Vといったとても低い数値をしめしている。あーバッテリーか!ということで、路肩に停めてライト類を消してみる。すると12~13.5Vくらいで安定してくる。あーバッテリーか!
そしてしばし快調に走るも、そのうちまた電圧が乱高下し始めて失火が増えてくる。ちょっと路肩に停止し、電圧値をチェックしてみる。この電圧はメインスイッチのマイナス側から取っているので、イグニッションコイル1次側の入力電圧とほぼ同一と思って良い。
ん~、微妙な値。
そして帰宅するまで徐々に電圧が低下し、帰宅する直前には低回転域でも失火するほどに。灯火を消してエンジンを吹かすと12Vは越えるのでレギュレクは生きているのだろうが、灯火を付けるととたんに電圧が低下していく。エンジンを停止すると・・・
なんじゃこりゃーーーーーというような電圧。
乾電池みたい。
これではダメだ。既にキックをしてもエンジンは懸からない。
しばしメインを切って待つと、8Vくらいまで回復しているので、キックするとエンジンは起動した。しかし停止すると同じ状態に。あー、バッテリー逝ってしまったな。そうか、バッテリーかも。しっかりした容量のあるバッテリーに取り替えようか。
もうそれくらいしかないな。